読み始めて百二十ページあたりで、もう涙が止まらなくなった——そう話している人がいました。しかもそれが唐突にやってくるので驚いた、とも。
物語の中心にいるのは、小国ナスミという女性です。享年四十三。この人がもうこの世にいない、というところから話が始まります。全部で十四の短い話でできていて、ナスミ本人の視点もあれば、姉の過去の話、祖母から教わった言葉を思い出す場面、夫の話など、彼女と関わった人たちの側から少しずつ光が当てられていきます。
一話ずつは短いのに中身が濃く、読み進めるうちにナスミがどういう人だったのかが立ち上がってくる——そこがいいという感想が繰り返し出てきました。登場人物の数は多いのですが、一人ひとりの輪郭がはっきりしているので混乱しない、という言い方もされています。
泣かせるだけの話ではない、という点も何人かが強調していました。涙のなかに笑いがあり、全体にメリハリがある。読み進めるにつれて、温かさや希望のほうへ物語が動いていきます。帯にある「感動と祝福の物語」という言葉がそのまま当てはまる、という受け取られ方でした。
中盤で思いもよらない展開があるという声もあります。「もっとこの話の続きが読みたい。でも、これ以上続くのは違う気もする」——そんな読み終わり方をした人もいました。
ドラマを見ているかどうかで、入り口の感じ方が変わりそうです。この作品はNHKで放送されたドラマ『富士ファミリー』と地続きの世界を描いていて、ドラマを見た人なら登場人物にすぐ感情移入できる一方、見ていない人は人物の関係に戸惑うかもしれない、と述べている人がいました。
ただしその人は、ドラマと小説がどちらかの補足になっているというより、両方あって初めて成立する世界だと感じた、とも話しています。小説だけを読んで強く心を動かされている人もいるので、前提知識が必須というわけではなさそうです。
いちばん見られているのは、ペキョの小説紹介とかの紹介で、どのあたりで涙腺がもたなくなったかを具体的に話しながら、ネタバレを避けて薦めています。
ドラマとの関係については、BookTV358が詳しく、小説とドラマのどちらが欠けても成立しない世界だ、という見方を示しています。タヒぬちゃんの毎日BOOKレビューは、装丁の手ざわりまで含めて「これは紙の本で読みたい一冊」と紹介していました(再生回数は2026年9月時点)。