YouTubeの感想やインタビューをいくつか見ましたが、この本はまず「思っていたのと違った」という声から入る人が多いです。
出版元が東京創元社というミステリーやSFを専門に扱う版元なので、手に取る前は身構えていたけれど、実際は恋愛小説寄りの作品だった、という感想がよく出てきます。ジャンル分けに迷う、という言い方をしている人もいました。
物語の軸は、ある事件の「加害者」と「被害者」とされた二人が、15年後に再会するという展開です。少女だった更紗と、彼女を家に招き入れた大学生の文。世間は二人を「洗脳されている被害者」「決して許されない加害者」という型にはめようとするけれど、当人たちの間にあるのはそのどちらでもない、言葉にしづらい結びつきだった。そこを丁寧に描いている、という話をほとんどの人がしていました。
アイスクリームの場面がよく語られるのも印象的でした。更紗の家庭では夕飯にアイスを食べても怒られない、自由な子ども時代の象徴として何度も出てくる場面で、「読んでいるとアイスが食べたくなる」と言う人が何人もいます。
著者の凪良ゆうさんがもともとBL・ライトノベルの分野で活動していた方だと知って驚いた、という声もありました。畑違いの賞で、しかも初挑戦で大賞を取ったことに納得しつつ驚いている人が多い印象です。
| 論点 | 一方 | もう一方 |
|---|---|---|
| 二人の関係 | 運命的で美しい結びつき | もやもやする、簡単に結婚してほしいとは思えない複雑さ |
| ジャンル | 大人向けの切ない恋愛小説として読む | ミステリーの版元らしく、事実と真実のずれを描くサスペンス性がある |
| 読後感 | 美しく切ない | 世間の決めつけの描き方に胸が苦しくなる |
見た範囲で、作品へのはっきりした否定は見当たりませんでした。
本屋大賞の受賞作は毎年ひと通り読んでいます。この作品は、世間の「こうあるべき」という決めつけを描いた話で、読んでいて自分の中にある思い込みに気づかされるところがありました。
『流浪の月』はAudibleの聴き放題対象で、再生時間は10時間21分です(2026年9月時点。対象は入れ替わることがあります)。ナレーター違いでもう一つの版(10時間37分)もあり、声の印象で選べます。
ナレーターは土師亜文さん。81プロデュース所属の声優で、『ウマ娘 プリティーダービー』のメジロライアン役、『HUGっと!プリキュア』の百井あき役、『ドラゴンクエストX オンライン』のクリュトス・モーモリーナ役などで知られています。吹き替えでは『きかんしゃトーマス』のカーリー役も担当しています。オーディオブックの朗読も多く、「薬師寺涼子の怪奇事件簿」シリーズや「〈古典部〉シリーズ」なども読んでいます。
本屋大賞の受賞作でAudibleにあるものの一覧は、ブログ「あの空の下」の本屋大賞の受賞作、Audibleで聴けるのは14作品にまとめています。
いちばん見られているのは東京創元社公式の受賞紹介動画で、100万回以上再生されています。文学YouTuberベルさんの受賞直後の書評と、映画公開に合わせた原作ファン目線の感想も、それぞれ数万〜数十万回見られています。
このほか、本とのコト知りたい?、ミステリー文学の本棚、ブックマちゃん、ひろみ司書CHの感想も見て、このページをまとめました(再生回数は2026年9月時点)。