YouTubeの感想をいくつか見て、読書メーターやブクログ、noteの感想も眺めてみました。この本の語られ方は、少し変わっています。
「終始つらかった。でも星5つ」。こういう感想が典型で、読書メーターでもよく出てくる言葉は「泣いた」「苦しい」「切ない」でした。つらさと高い評価が同居している。それがそのまま、この作品の受け止められ方だと思います。
恋愛小説として紹介されるのですが、誰もがそのあとに一言足します。瀬戸内の島で出会った暁海と櫂の17年間は、「恋愛という言葉だけでは表せない」「本能的にお互いを必要としている二人」で、「すべての選択の基準の中に母親がいる」。つまり家族の話でもある、と。
その家族の話の部分では、親を支えなければならない二人が「自分の人生を生きる」話として読んでいる人が多くいました。父の不倫で壊れた家庭の暁海と、恋愛に振り回される母を支える櫂。「いちばん自分の人生を生きづらい立場の二人が、それでも自分の人生を生きようとする話だから、パワーがある」と言っていた人がいて、なるほどと思いました。
構成の話もよく出ます。「読み終わったら絶対に冒頭に戻りたくなる」「同じ文章なのに、受け取り方が180度変わる」。プロローグに仕掛けがあり、章の題が海の言葉になっていて、章ごとに二人の視点と年齢が進んでいく。司書さんの解説がいちばん丁寧でした。
意外だったのは、恋愛小説が苦手な人にも届いていることです。ミステリやホラーが好きで恋愛ものを敬遠していた人が「読み切れた」と言い、担当編集者は「読者は女性が多いけれど、男性にも刺さる」と話していました。
| 論点 | 一方 | もう一方 |
|---|---|---|
| つらさ | つらいからこそ心に残る | 中盤の展開に「どうしようもない」と苛立つ |
| 二人の関係 | 純粋に惹かれ合っている | 心の穴を埋め合う、健全とは言い切れない面もある |
| 誰に刺さるか | 20代の担当編集者は「間近でたどってきた人生」として | 幅広い年齢に読まれている |
見た範囲では、作品へのはっきりした否定は見つかりませんでした。
本屋大賞の受賞作は毎年ひと通り読んでいますが、この作品は「泣ける」「苦しい」という上のまとめの通り、読む時間と気持ちの余裕を確保してから開くほうがいい一冊だと思います。1章ごとに二人の視点が切り替わるので、区切って読む分には迷いません。
『汝、星のごとく』はAudibleの聴き放題対象で、再生時間は12時間8分です(2026年9月時点。対象は入れ替わることがあります)。暁海のパートを柚木尚子さん、櫂のパートを志村倫生さんが読む二人体制で、章ごとに視点が変わる原作の構成がそのまま声で分かります。
柚木尚子さんはケンユウオフィス所属の声優で、テレビアニメでは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(2018年)のブルーベル・ユノア役、『ソードアート・オンライン アリシゼーション』(2019年)の四旋剣ジェイス役、『ブラッククローバー』(2019〜2020年)のパトリ〈幼少期〉役、『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』(2021〜2024年)のアデミ役、『ドラえもん』『憂国のモリアーティ』の各役を演じています。ゲームでは『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』(2019年)のマダム・ローズ役、『東京クロノス』(2019年)の東国ユリア役、『モンスターストライク』の足利義輝役、『ファイナルファンタジーVII リバース』(2024年)にも出演。オーディオブックでは『ハンガー・ゲーム』2・3巻の朗読も担当しています。
志村倫生さんはプロダクション・エース所属で、舞台出身の俳優・声優です。舞台では『リア王』(2017・2018年)のエドマンド役、『ノブナガ・ザ・フール』の明智光秀役、『名探偵ポアロ』のグラハム役、『グレート・ギャツビー』のギャツビー役、『とびだせ新選組』の斎藤一役。映像では映画『64-ロクヨン-』『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』、ドラマ『三匹のおっさん〜正義の味方、見参!!〜』『水戸黄門スペシャル』に出演しています。オーディオブックでは本作の男性パートのほか、『奇跡の経済教室』シリーズ(2023年)、『16歳からのはじめてのゲーム理論』(2021年)の朗読を担当しています。
本屋大賞の受賞作でAudibleにあるものの一覧は、ブログ「あの空の下」の本屋大賞の受賞作、Audibleで聴けるのは14作品にまとめています。2023年のノミネート10作は2023年本屋大賞:ページをめくる手が止まらない。で紹介しています。
YouTubeで検索していちばん上に出るのは、2026年10月公開の映画の本予告(東宝MOVIEチャンネル)で、100万回以上再生されています。本の話としては、著者の凪良ゆうさんがサプライズで出演したBSテレ東の制作秘話の回と、紀伊國屋書店の刊行記念トークがよく見られています。
読んだ人の感想では、ひろみ司書CHの解説が構成の仕掛けをいちばん丁寧に説明してくれていて、ひぐちと語る読書時間は2026年の本屋大賞をきっかけに過去の受賞作をさかのぼって読んだ回で、20万回以上見られています。
このほか、やーまんBOOKs、とうふの本棚、語彙力0なので本1000冊読んでみる人。、古本屋アトラクトなどの感想と、読書メーター・ブクログ・noteの感想を見て、このページをまとめました(再生回数は2026年9月時点)。