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全国書店員が選んだ、いちばん売りたい本
カフネ

カフネ

阿部暁子 著 / ヒューマン

「カフネ」とはポルトガル語で、愛する人の髪を優しくすく仕草を意味する。言葉の温もりをテーマにした愛の物語。

読者の受け止め方

YouTubeの感想やインタビューをいくつか見ましたが、この本について話す人は、ほとんどご飯の話から始めます。

弟を突然亡くした41歳の姉・薫子と、弟の元恋人で料理が得意なせつな。二人が家事代行サービス「カフネ」の活動を通して少しずつ近づいていく話で、豆乳そうめんやプリンといった具体的な料理が出てくるたびに「食べたくなる」と。現役の書店員さんは、料理だけでなく薫子の得意な掃除もちゃんと軸になっているのが良い、と言っていました。

そして「泣ける」。出版社のポッドキャストでは「ノミネート作の中で唯一泣けた本」と言いつつ、「泣ける=いい小説というわけではないけれど、シンプルに人の心をつかむ話」と話していたのが印象的でした。本屋大賞に毎年ひとつはある「癒しのご飯本」の枠、という言い方をする人もいます。

薫子への共感の仕方は、読む人の年齢や立場でずいぶん変わるようです。40代の女性の編集者は、子どもを持たないことへの周囲の圧や、努力で人生を切り開いてきた薫子の生きづらさに「同年代として分かる」と言い、職場で年下の部下を見ている人は、年下のせつなに手を差し伸べたくなる薫子の気持ちに自分を重ねていました。

もう一つ、家事代行の訪問先を通して「助けを求められない人」を描いている、という読み方をする人もけっこういます。ひとり親、介護疲れ、育児に行き詰まった家庭。周りに知られていないだけで誰もが辛い、という現実を見る話として受け止め、「家事に溺れて助けを求められない」という一節に自分の一人暮らしを重ねた人もいました。助ける側の薫子自身が、訪問先に救われていく。そこがいい、と言う人が多かったです。

分かれる点

論点一方もう一方
文章・構成読みやすく、場面が目に浮かぶ文学として厳しく見る立場からは「長すぎる」「小説として弱い」という否定もある
「泣ける」人の心をつかむ良い話「泣ける」を評価の軸にすること自体への留保
受賞納得。野崎まど『小説』との二択だったという予想も賞の選び方そのものへの批判(作品の評価とは別)

はっきり否定的だったのは文学研究者の方の一本で、その内容は作品そのものというより本屋大賞という賞への批判のほうが中心でした。

著者が語っていること

運営者の視点

私はこの作品をAudibleで聴きました。仕事終わりの夜の散歩や家事の時間に、少しずつ進めた一冊です。

本屋大賞に選ばれるような作品は、耳で聴いても内容が入ってきやすいと感じていて、『カフネ』はその代表でした。上のまとめにある「泣ける」「ご飯がおいしそう」は、聴いていても同じです。目が疲れて本を開けない日でも、この作品は進められました。

2025年の他のノミネート作

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同じジャンル「ヒューマン」の大賞受賞作

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『カフネ』をAudibleで聴く

『カフネ』はAudibleの聴き放題対象で、再生時間は10時間31分です(2026年9月時点。対象は入れ替わることがあります)。夜の散歩で毎日1時間なら、10日ほどで聴き終わる長さです。

ナレーターは岸本百恵さん。ケンユウオフィス所属の声優で、テレビアニメでは『SPY×FAMILY』(2022〜2025年)の近所の住人役、『サザエさん』(2022〜2024年)の船木・夢ちゃん・春枝など複数の役、『ノラガミ』(2014〜2015年)の佐々木さん役、『チア男子!!』(2016年)の晴希の母・坂東美春役、『地獄少女 宵伽』(2017年)の真山房枝役を演じています。ゲームでは『Detroit: Become Human』(2018年)のクロエ役、『ホグワーツ・レガシー』(2023年)のマチルダ・ウィーズリー役、『ファークライ5』(2018年)のグレース・アームストロング役。吹き替えでは映画『エミリア・ペレス』のエピファニア役、『ワンダーウーマン』のファウスタ役、『オーシャンズ8』のガラ・ホスト役、『スイス・アーミー・マン』のサラ・ジョンソン役があり、NHK Eテレ『地球ドラマチック』のボイスオーバーも担当しています。

本屋大賞の受賞作でAudibleにあるものの一覧は、ブログ「あの空の下」の本屋大賞の受賞作、Audibleで聴けるのは14作品にまとめています。2025年のノミネート10作は2025年本屋大賞:心に静かな灯りをともす10冊で紹介しています。

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こんなところでも紹介されています

著者インタビューでは、文芸評論家の三宅香帆さんが聞き手を務めたTBS CROSS DIGの2025年本屋大賞「カフネ」阿部暁子さんに聞くと、BSテレ東「あの本、読みました?」のノミネート時の出演回がよく見られています(どちらも数万回)。受賞会見の様子は朝日新聞の解説動画や読売新聞オンラインでも取り上げられました。

読んだ人の話としては、現役書店員の芸人さんによる書店員芸人カモシダせぶんの読書のおとも(未来屋小説大賞の受賞時)と、朝日新聞の本のサイト・好書好日のポッドキャスト回が、この本のどこが好きかをいちばん具体的に話してくれています。

このほか、村上 綾読書サロン 朋来堂覆面サスケの本紹介といった一般の読者の感想と、文学研究者の伊藤さんの辛口評も見て、このページをまとめました(再生回数は2026年9月時点)。

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