1975年、台湾。かつて中国大陸での内戦に敗れて台湾に流れてきた祖父が、何者かに殺される。十七歳で無軌道に生きていた主人公の「私」には、まだその意味が分かりませんでした。祖父が何者に殺されたのか、その謎を追う——あるいは謎に追われるようにして、「私」自身のルーツでもある中国大陸へと物語は流れていきます。
紹介している人が最初に挙げていたのは、この時代の台湾という舞台設定のユニークさです。中国大陸にルーツを持つ台湾人の、根っこの不確かさそのものが物語の題材として秀逸だ、という評価でした。かつて台湾から日本へ渡ってきた経歴を持つ著者自身の実感が、圧倒的な筆力で描き出されている、とも語られていました。
物語の縦糸には、祖父殺しの謎を追うミステリーの要素があります。ただし、それだけの話ではなく、その間に挟み込まれるさまざまなエピソードは、まぎれもない青春小説そのものだ、と著者自身が語っていました。ミステリーの要素とバイオレンスの要素が絡み合い、ハラハラドキドキしながら最後まで読んだ、という感想もあります。登場人物の多くには実在のモデルがいて、複数の人物を一人に合成したキャラクターもいるとのことでした。
今日生まれた赤ちゃんが大人になってから読んでも、同じように楽しめるはずだ——そう評している紹介者もいました。
見た範囲では、評価が大きく割れる点は出てきませんでした。台湾という土地や、中国大陸との複雑な関係についての予備知識がなくても楽しめる、という評価が一致していました。
BookTV358が、あらすじと1970年代の台湾という舞台の魅力を紹介しています。
著者本人のインタビューはspotlightで見られ、受賞後の生活の変化や、登場人物のモデルについて語られていました(再生回数は2026年9月時点)。