第二次世界大戦下のフランスやオランダを舞台に、若いアメリカ人兵士たちを描いた作品です。日本人は一人も登場しませんが、そのことが読みにくさにはまったくつながらなかった、と紹介している人が口をそろえていました。
主人公のティムは、食べることが大好きな十七歳の青年。志願して軍隊に入り、コック兵になることを決意します。生きるか死ぬかの戦場で調理を担当する役目は、他の兵士から馬鹿にされがちな仕事でしたが、同じくコック兵の親友・江藤ができ、仕事にも自信がついてきます。1944年、十九歳になったティムはついに戦場へ送られる。ノルマンディー上陸作戦です。
料理小説だと思って読むと肩透かしを食う、と語られていました。前線で兵士に最低限の栄養を取らせるための食事ですから、美味しいものが出てくるはずもない。実際のところ、この作品はミステリー小説として組み立てられています。まだ戦闘が終わっていないのに予備のパラシュートを集めている兵士がいたり、倉庫の食料が消えたりと、戦場という特殊な環境で起きる小さな謎を、ティムと江藤の二人が解いていく連作短編の形になっている、と紹介されていました。
謎解きが進むにつれて、物語は次第に深刻さを増していきます。仲間が一人また一人と命を落としていき、自分が死にたくなければ相手を殺すしかない状況に追い込まれる。戦争が若者の心を切り刻んでいく様子がリアルに描かれていて、終盤は男たちの友情の厚さに泣きながら読んだ、という感想もありました。
見た範囲では、評価が大きく割れる点は出てきませんでした。日本人作家がヨーロッパ戦線をここまで丁寧に描いていることへの驚きと敬意は、複数の紹介者に共通していました。
浅井書房が、連作短編としての構成から、物語が進むにつれて深刻さを増していく展開までを詳しく紹介しています。
BookTV358は、著者インタビューを読んで購入した経緯と、読み終えたあとの実感を語っていました(再生回数は2026年9月時点)。