「これは今まで読んだことのないミステリーだ」——著者自身が受賞の言葉でそう語り、読んだ人もそろって同じことを口にする作品です。
舞台は大学のミステリー愛好会が参加する夏合宿。いわく付きの映画研究部の合宿に乗じて、羽村譲と会長の明智恭介、探偵少女の剣崎比留子がペンションを訪ねます。合宿一日目の夜、肝試しに出かけたメンバーは、想像もしなかった事態に遭遇し、館に立てこもらざるを得なくなる。緊張の一夜が明けると、部員の一人がミンチ状の惨殺死体となって発見される——ここから連続殺人の幕が開きます。
紹介している人たちが口をそろえるのは、「まさかそんな設定で来るとは」という驚きです。事件の状況がクローズドサークル(外部との連絡が絶たれた密室状況)そのものになる経緯が、これまでの本格ミステリーでは見たことのない形だと語られていました。ネタバレを避けるために、その中身には踏み込まずに紹介している人がほとんどです。
論理的に真相が解き明かされる終盤の推理パートも、衝撃の設定に負けず劣らず読み応えがある、と評価されています。物語の端々に本格ミステリーの小ネタが散りばめられている点も、ジャンルに親しんだ読者を楽しませるポイントとして挙げられていました。
もう一つ触れられることが多いのが、震災小説としての側面です。主人公の羽村は東日本大震災の被災経験を持つ設定になっていて、その心情が物語の中に繰り返し差し挟まれます。設定の衝撃に目が行きがちだけれど、震災を抱えた主人公の心の動きが強く印象に残った、と語っている人もいました。
見た範囲では、評価が割れる点はほとんど出てきませんでした。むしろ「文句なし」「本当に面白かった」という感想が繰り返されています。あえて言えば、本格ミステリーに慣れている読者ほど、この設定の斬新さに驚く度合いが大きいようでした。
いちばん見られているのは、ペキョの小説紹介とかの紹介で、年末最後の一冊として取り上げた経緯から、設定の驚きまでをネタバレなしで語っています。
ミステリー文学の本棚は、クローズドサークルというミステリーの型について詳しく解説したうえで、この作品がその型のなかでどれだけ異例かを丁寧に紹介しています(再生回数は2026年9月時点)。