五百六十ページ。まずその厚みの話から始める人が多い作品です。前半はそれなりに骨が折れるけれど、後半に入ると怒涛の勢いでページをめくっていた——そんな読み方をした人がいました。
山の中で白骨死体が見つかるところから物語が動き出します。その遺体が握っていたのは、日本に数えるほどしかないと言われる希少な将棋の駒でした。担当するのは、叩き上げのベテラン刑事・石破と、かつてプロ棋士を目指して挫折した新米刑事・佐野です。二人は駒の来歴をたどるという地道な捜査を重ね、やがて一人の棋士にたどり着きます。
その棋士が上条桂介です。東大を出た元実業家で、奨励会を経ずに特例でプロになったという異色の経歴の持ち主。捜査の進行と、上条がどう生きてきたかという物語が、交互に語られていく構成になっています。上条の過去を知れば知るほど、その生い立ちが刑事たちの想像を超えて過酷なものだったことが突きつけられる——そこがこの作品の中心だと語られていました。
ミステリーとして読むと殺伐とした感じは強くない、という感想もあります。どちらかというと一人の人生を読んでいる感覚に近い、という受け取り方です。将棋が分からなくても楽しめる、という点は複数の人が保証していました。
とくに評判がいいのが、金を賭けて将棋を指す「真剣師」の世界を描いた場面です。表に出ない将棋の世界のしのぎ合いが圧巻だ、と元書店員の紹介者が挙げていました。
見た範囲では、評価そのものが割れることはありませんでした。ただし五百ページを超える長さなので、読み通せるかどうかは人を選びます。紹介している人自身も、長編の楽しみ方が分かってきたからこそ読み切れた、という言い方をしていました。
いちばん見られているのは、ペキョの小説紹介とかの紹介で、本屋大賞ノミネート作を読み進めた締めくくりとしてこの一冊を取り上げ、長編をどう読み切ったかまで話しています。
元書店員・はまさきのミステリー通信は、書店員歴四十二年の立場から、刑事二人の造形と上条という人物の描かれ方、そして真剣師の世界の迫力を、ネタバレを避けながら紹介しています(再生回数は2026年9月時点)。