舞台はバルカン半島のある国です。若い医師の「わたし」は、辺境の町で祖父が亡くなったと知り、その最期の足どりを追いはじめます。祖父が生前に語っていた「不死身の男」の話と、爆撃された動物園から逃げたトラと心を通わせた少女、「トラの嫁」の話が、祖父の人生と重なっていきます。
戦争という現実と、おとぎ話のような話が溶け合う感触に引きこまれた、という感想が多い本です。迷宮の扉を一つずつ開けていくように視点が移り変わる、と構成をほめる声もあります。トラが逃げていく場面や、真夜中の街を象が歩いていく場面が絵のように浮かぶ、という人もいました。
読みやすい本ではありません。登場人物ひとりひとりの過去の話が急に始まり、面白くなってきたところで歴史の話に戻るので、テンポが悪いと感じた人がいます。バルカン半島の歴史を知らないとつらい、という声もありました。読み終えて「何の話だったのか」とつかみきれなかった人と、そのぼんやりした余韻が好きな人に分かれています。
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