「たった七日間しかなかった昭和」——昭和天皇の崩御によって、昭和64年はわずか七日間で終わりました。この物語は、その幻の七日間のうちに起きた、痛ましい少女誘拐殺人事件から始まります。警察内部で「64」と呼ばれるこの事件は、以後十四年ものあいだ警察組織そのものを蝕む呪いのような存在になっていく——そこから物語が始まる、と紹介されていました。
主人公は三上義信。かつて64事件の捜査にも関わった叩き上げの刑事でしたが、今は畑違いの広報官という立場に置かれています。記者クラブとの間で匿名報道をめぐる激しい対立を抱えながら、かつての古巣である刑事部からは「組織に魂を売った裏切り者」と見なされ、64に関する重要な情報も一切知らされない。プライベートでは、娘の失踪という不安まで抱えている——組織の論理と個人としての正義のあいだで引き裂かれていく主人公の姿が、働くすべての人に突き刺さる重厚な物語として紹介されていました。
紹介している人は、この作品を「究極の警察小説」と呼んでいました。警察という巨大な組織の中で、事件の風化を防ごうとする長官視察の動きと、それを拒む被害者遺族。この対立の裏に何が隠されているのか、その謎を解く鍵として「こだメモ」という手記の存在が語られます。組織と個人の相克を、行き詰まるような緊張感で描いた社会派ミステリーとして、高く評価されていました。
見た範囲では、評価が大きく割れる点は出てきませんでした。ただし警察組織の内部構造を丁寧に描く分、読み進めるにはある程度の集中力が要る、という点は共通して語られていました。
BookTV358が、物語の骨格と、組織対個人という構図を紹介しています。
より詳しい内容は世界の名著解説で語られていて、こちらは結末まで含めたネタバレありの解説になっています。これから読む方は、先に本編を読んでから視聴することをおすすめします(再生回数は2026年9月時点)。