「フローラ処置」という技術によって、人間の寿命が爆発的に延びた社会。そこで制定されたのが「百年法」です。フローラ処置を受けた人は、処置から百年目に死ななければならない——それが百年法という法律の中身です。処置を受けた人がそのまま死なずにいると、高齢者ばかりが増える極端な高齢化社会になってしまう。それを避けるために定められた法律、という設定が紹介されていました。
この作品がさらに面白いのは、物語の舞台が「百年法が制定された瞬間」ではなく、「制定から百年が経過したタイミング」に置かれている点だ、と語られていました。百年後に法律が実際に適用されるとき、人々はどう動くのか——そこから物語が始まります。
物語は群像劇の形をとっていて、さまざまな立場の人物の視点で描かれます。実際に百年目を迎える最初の対象者、フローラ処置が当たり前になった社会であえて寿命で死ぬことを選んだ母を見送った息子、百年法をめぐる政治家や官僚の駆け引き、そして法律に反旗を翻すテロリスト的な立場の人物——それぞれの視点が積み重なって、百年法という一つの制度を中心に据えた壮大な物語が展開していく、と紹介されていました。
上下巻に及ぶボリュームですが、展開が二転三転していく面白さがあり、SFというジャンルを警戒する必要はない、人間ドラマとしての側面が大きいのですらすら読めてしまう、という評価が示されていました。
見た範囲では、評価が大きく割れる点は出てきませんでした。ただしSF設定への抵抗感がある読者には、まず「設定を聞くだけで面白い」という入り方をおすすめしたい、と紹介されていました。
紙七の本棚が、「設定を聞くだけで面白い作品」として本作を取り上げ、百年法という制度の仕組みから、群像劇としての広がりまで詳しく紹介しています(再生回数は2026年9月時点)。