九つの短編で構成された連作集です。話ごとに主人公が変わりながら、登場人物は共通していて、それぞれの人生の断片が積み重なっていく構成だ、と紹介されていました。
中心にいるのは、岐阜さんとテツ子さんという二人です。テツ子さんの夫(岐阜さんの息子)を五年前に亡くし、義理の父娘のような形で一緒に暮らし始めて五年が経つ、というところから物語が始まります。夫を亡くした心の穴を、まわりの人たちがそれぞれどう受け止めていったのか、そのきっかけは何だったのか——それが物語全体を貫くテーマとして語られていました。隣に住む幼なじみの少女や、いとこなど、二人をめぐる周辺の人物たちの物語も描かれます。
会話文が多く、地の文が少なめなので、小説として読みやすい部類に入る、という紹介がありました。ある紹介者は、弱っていたときに読みたかった本を探していて、重すぎない読み口のこの作品にたどり着いた、という体験を語っています。九編それぞれで語り手が変わる書き方が独特で、最初は戸惑うものの、読み進めるうちに気にならなくなる、という評価もありました。
暗い話かと思って読み始めたら、くすりと笑える箇所もあり、穏やかな気持ちになれた、という感想も見られます。近しい人の死について考えたことのある人には、とくに響く一冊として紹介されていました。
見た範囲では、評価が大きく割れる点は出てきませんでした。ただし、近しい人を亡くした経験の有無によって、作品への入り方は変わりそうです。
週末本屋*彩あい書房が、脚本家夫婦としての木皿泉さんの経歴から、この作品の読みやすさまで詳しく紹介しています。
BookTV358は、九つの短編それぞれのつながり方と、読後の穏やかな気持ちについて語っていました(再生回数は2026年9月時点)。