著者のシーラッハさんは、ドイツで刑事事件を扱ってきた弁護士です。妻を手にかけた老医師、兄を救うために法廷に立つ犯罪者一家の末っ子、銀行強盗の金でエチオピアの村を豊かにした男。実際の事件を材にとった11編が収められています。
感想でいちばん多いのは、淡々とした文章への驚きです。調書のように事実を積み重ねるだけなのに、行間からやるせなさがにじんでくる、という声が並びます。気持ちを説明しないぶん、どう受け止めるかを読む側に預けてくる本だ、という人もいました。誰にでも起こりうる一歩のずれが犯罪につながる怖さを感じた、という感想も目立ちます。
名前がよく挙がるのは「エチオピアの男」です。ほかに、新婚旅行の写真を親指でなでる場面が忘れられないという「フェーナー氏」、末っ子が法廷で兄を救う「ハリネズミ」も人気があります。
ミステリーだと思って読むと、謎解きやどんでん返しはほとんどありません。真相がはっきり書かれない話もあり、「もどかしい」と感じた人もいます。暴力の場面は描写が生々しく、重さが苦手な人には向かないかもしれません。
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