地下にあるため窓が一つもなく、古い柱時計の明かりだけが薄暗く灯る喫茶店。ここには「訪れた客が過去に戻れる」という噂がある——そんな設定から始まる連作短編です。
物語は四部構成になっていて、恋人をテーマにした話、夫婦をテーマにした話、姉妹をテーマにした話、そして最後にこの喫茶店で働く女性自身の、親子をテーマにした話が続きます。それぞれ題材は違うのに、過去に戻る場面の描き方にどこか通じるものがある、と語られていました。
過去に戻るためには、いくつもの細かいルールがあります。座れる席は一つだけ、しかもその席には常に一人の女性客が座っていて、彼女が席を立ってくれる隙にしか移動できない。過去に戻っても現実は変えられない。コーヒーが冷めきる前に席へ戻らないと、二度と戻れなくなる——こうした制約があるからこそ、登場人物たちが何のために過去へ戻ろうとするのかが際立つ、という読まれ方をしています。
帯には「四回泣ける」と書かれているそうですが、涙まではいかなかったという紹介者もいました。それでも、じんわりと心が温まる読後感だった、という感想です。過去に戻れるとしても、変えられない現実を受け入れたうえで、それでも大切な人に伝えたい言葉がある——そこがこの物語の芯だと語られていました。
見た範囲では、評価が大きく割れる点は出てきませんでした。「泣ける」という評判をどれだけ強く期待して読むかで、感じ方の強さは変わりそうです。
ペキョの小説紹介とかが、喫茶店の設定とルールを丁寧にたどりながら、四つの話それぞれの読みどころを紹介しています(再生回数は2026年9月時点)。
この作品について語っている動画は多くありますが、ネタバレを避けつつ実際に読んだ内容を語っているものは、探した範囲では多くありませんでした。ここでは確かに読んだうえで話されているものを中心に参考にしています。