タイトルの「ハケン」は、派遣社員の派遣ではありません。その時期に一番売れたアニメに与えられる「覇権アニメ」という業界用語です。紹介している人が最初にこの言葉の意味を説明するところから始めていたのが印象的でした。
物語は四章構成で、それぞれ異なる立場の人物が主人公になります。駆け出しの女性監督、ビジネス優先のプロデューサー、そして天才と呼ばれる監督——アニメ制作に関わるさまざまな役割の人たちの視点が積み重なりながら展開していく構成です。主人公の一人、王子千晴監督の復帰作が、もう一人の主人公である斎藤瞳の作品と同じ時間帯に放送されることになり、視聴率争いという形でも物語が動いていきます。
アニメ業界の裏側を描いたお仕事小説として紹介されていて、アニメが好きな人はもちろん、そうでない人でも楽しめる、と語られていました。仕事にどう向き合えばいいのか、どんな働き方をすればいいのかという点でも参考になる、自分の仕事へのやる気が出る小説だ、という感想もありました。
映画化されたバージョンについては、原作を読まずに鑑賞した人から、「アニメ業界の闇があまり描かれていない」という指摘もありました。原作の小説では、業界の厳しさと情熱の両方がバランス良く描かれている、という受け取り方が中心でした。
見た範囲では、はっきりと意見が割れる点は出てきませんでした。ただし映画版と原作小説とでは、業界の暗い側面の描き方に違いがある、という指摘があり、どちらから先に触れるかで印象は変わりそうです。
よむタメ!が、四章それぞれの視点人物の役割と、物語が絡み合っていく構成の面白さを紹介しています。
映画版のレビューとしては、ミステリ作家の七尾与史が、アニメ業界そのものへの思いも交えながら、原作との違いについて率直に語っていました(再生回数は2026年9月時点)。