著者自身の故郷である鳥取県を舞台に、架空の村で古くから製鉄業を営む一族「赤朽葉家」の、女三代にわたる歴史を描いた大河小説です。1953年から二十一世紀にかけての長い時間を、三部構成で追いかけていきます。
第一部は、語り部の祖母・赤朽葉万葉を中心にした「最後の神話の時代」。戦後間もない鳥取の村に、幼い万葉が辺境の地から置き去りにされ、村の若い夫婦に引き取られるところから物語が始まります。普通の子どもとは少し違う、不思議な予言をしたり、他人には見えないものが見えたりする万葉は、「千里眼」と呼ばれるようになり、やがて赤朽葉家に嫁入りすることになります。第二部は万葉の娘・毛毬を中心にした「巨人の時代」、第三部は毛毬の謎の言葉の意味を、語り部である瞳子が調べていく現代篇と、時代を追って構成が移り変わっていきます。
赤朽葉家の歴史が描かれる一方で、随所に戦後日本の出来事が挿入され、一族の物語と日本の戦後史が連動するように進んでいく構成だ、と紹介されていました。著者はガルシア・マルケスの『百年の孤独』など、世界文学からの影響も指摘されていて、幻想的な手法(マジックリアリズム)を取り入れた作品として評価されています。
見た範囲では、複数の受け止め方を比較できるだけの材料は集められなかった。三代にわたる長い時間軸を追う構成のため、腰を据えて読みたい作品のようです。
宇宙のすべての知識 プリンシピアが、三部構成のあらすじと、受賞歴の豊富さについて紹介しています(再生回数は2026年9月時点)。