33歳の会社員キム・ジへは、理不尽なことがあっても声を上げずに飲み込んでしまう、ごく普通の女性です。そんな彼女の職場に、周囲から浮いた存在の新入社員がやってきて、キム・ジへが見て見ぬふりをしてきた社会のおかしさに、少しずつ気づかせてくれる——2020年に本屋大賞翻訳小説部門1位を受賞した『アーモンド』の著者による、続く長編作品です。声を上げるまでの描写にじっくり時間をかけている分、後半の変化がより鮮やかに感じられた、という感想を見かけました。
全21章からなる物語で、派手な感情の起伏があるわけではないものの、大人になるにつれて感じる小さな矛盾——社会はこういうものだと思い込んでいたけれど、それっておかしいのでは、という葛藤が丁寧に描かれている、という受け止め方が中心でした。弱い立場の人ほど声を上げにくく、自分が悪いのだと思い込みがちな社会の中で、「おかしいと声に出すこと自体に意味がある」という言葉が印象に残った、という感想もありました。
読み終えたときに、何かが劇的に変わったという分かりやすい描写はないものの、静かに晴れやかな気持ちになれるラストを迎える、という評価が印象的でした。
とくにはっきり分かれる点は見当たりませんでした。見た範囲では、声を上げるまでの丁寧な心情描写と、静かな読後感を評価する声が中心でした。
いちばん見られているのは、坂上ひろみの紹介動画で、複数の本屋大賞候補作とあわせて本作の読みどころが語られています(再生回数は2026年9月時点)。