ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りします。王子と名乗る謎の青年が銀座の町を彷徨い歩き、「僕の人魚がいなくなってしまって、この場所に逃げたんだ」と語っている——そんな奇妙な噂の裏で、銀座を訪れた5人の男女がそれぞれ人生の節目を迎えていく連作の物語です。20歳の娘との暮らしに人生を合わせてきた母、12歳年上の女性と交際中の元タレント、絵画収集にのめり込みすぎて妻に離婚された男性、文学賞の選考結果を待つ作家、銀座で働くホステスやママ——それぞれの視点が積み重なっていく構成です。
物語のあちこちにアンデルセンの人魚姫の物語が引用されていて、王子を刺そうとしたナイフを結局使わずに海の泡になることを選んだ人魚姫の心情を「1人の人間の中に相反する複雑な感情があって、そのなかからいずれかの自分を選び取りながら生きている」と読み解く場面が印象的だった、という感想をよく見かけました。
著者・青山美智子さんの2024年本屋大賞ノミネート作『リカバリー・カバヤ吾郎』と構成が似ていて、悩める人が不思議な存在(あちらは動物のアニマルライド、本作は「人魚が逃げた王子」の噂)と出会うことで、自分自身の悩みを解きほぐしていく、という共通点を指摘する声もありました。「1番好きだった人を1番嫌いになっていく」という登場人物のセリフが胸に刺さった、という感想も複数見かけました。
とくにはっきり分かれる点は見当たりませんでした。見た範囲では、複数の登場人物の視点が積み重なっていく構成と、人魚姫の物語との重ね方を評価する声が中心でした。
『人魚が逃げた』はAudibleの聴き放題対象で、再生時間は5時間46分です(2026年9月時点。対象は入れ替わることがあります)。
ナレーターは下妻由幸さんとくわばらあきらさんの二人体制です。ともにケンユウオフィス所属。下妻さんは広島県出身で、『ダイヤのA』シリーズ、『チ。―地球の運動について―』などに出演しています。くわばらさんは埼玉県出身で、『ゴールデンカムイ』『彼女、お借りします』などに出演しています。
いちばん見られているのは、おで塾本要約の読書感想で、5人の登場人物それぞれのエピソードと人魚姫の物語との重なりが詳しく語られています。
本の紹介では、覆面サスケの本紹介のレビューも見どころをまとめています。
このほか、うさぎニンジンの書評も見て、このページをまとめました(再生回数は2026年9月時点)。