コロナ禍の日々を背景にした短編集です。といっても感染症そのものの話ではなく、あの時期に少しずつずれてしまった暮らしの中で、人がつい踏み越えてしまう一線、つまり小さな「罪」を描いています。
読んだ人がまず言うのは、読みやすさです。文章がするする入ってきて、気構えずに読める。そのわりに、登場人物の心の動きがしつこいくらい細かく書かれていて、読後にざらっとしたものが残る、という感想が目立ちます。好きな話として挙がるのは「特別縁故者」や「さざなみドライブ」あたりで、話ごとに好みが分かれるのも短編集らしいところです。
嫌な人物の独白を読み続けるのがつらかった、という声もあります。また、7つの話が一つの大きな絵になるのを期待すると、「話は重なるのに全体像が見えない」と感じるかもしれません。一編ずつの切れ味を楽しむ本、と思って読むほうがよさそうです。
ブクログでは3,000人以上が本棚に登録しています。一穂ミチさんは本屋大賞でも『スモールワールズ』『光のとこにいてね』がノミネートされた作家です。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。