江戸の芝居小屋の裏で果たされた若衆の仇討ちを、2年後に目撃者たちの話からたどっていく時代小説。証言が重なるにつれて、あの夜の本当の姿が見えてきます。
雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏で、若衆の菊之助が父の仇を討ち果たす。その二年後、あの夜のことを聞きたいと、一人の武士が目撃者たちを訪ね歩きます。語るのは、元幇間や立師、衣装係の女形など、芝居町に流れ着いて生き直した人たちです。
この「一人ずつ話を聞いていく」形が心地いい、という感想がとても多いです。語り手ごとに口調も人生も違って、仇討ちの話を聞いているはずが、いつのまにかその人の身の上話に引き込まれている。そして最後まで読むと、題名の「あだ討ち」がひらがなである理由が分かる。そこで気持ちよく膝を打った、という人がたくさんいます。
「派手ではないけれど、静かに深く心に残る」「気持ちのいい小説」。読後感のよさを挙げる声が目立ちます。
同じ形の章が続くので、途中で少し飽きた、という人もいます。仕掛けに気づいた人の中には、話の運びにわざとらしさを感じたという声もありました。それでも評価はかなり高く、時代小説に慣れていない人にもすすめやすい一冊です。
ブクログでは5,000人以上が本棚に登録していて、評価は4点台と高めです。第169回は、垣根涼介『極楽征夷大将軍』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。