室町幕府を開いた足利尊氏の一生を描いた長編です。ただし、尊氏本人の目からではなく、弟の直義と、足利家の執事・高師直の二人の目から、交互に語られていきます。鎌倉幕府を倒し、室町幕府を立ち上げ、やがて身内どうしの争いへ。少年時代から亡くなるまでの尊氏の姿が、二人の目を通して浮かび上がります。
いちばん語られているのは、尊氏という人物の新しさです。やる気がなく、使命感もなく、何にも執着しない。そんな人がなぜか周りに好かれ、天下を取ってしまう。そのふしぎさに引き込まれた、という感想がとても多いです。振り回される直義と師直の苦労や、三人の関係の描き方もいい、という声が並びます。
2段組みで550ページほどある、とても長い本です。読み終えるのに時間がかかった、登場人物が多くて歴史に詳しくないと追いにくい、という声があります。後半の内輪もめが少し長く感じた人もいました。文庫版は上下巻に分かれているので、そちらから入るのもいいと思います。
ブクログでは2,600人以上が本棚に登録しています。第169回は、永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。