日露戦争の前から第二次世界大戦が終わるまで、およそ半世紀。満洲にある架空の都市「李家鎮」が生まれ、育ち、消えていくまでを、何人もの視点で追いかける長い話です。密偵に付き添う通訳、ロシア人の神父、都市計画に関わる人たち。立場の違う人物が入れ替わりながら、一つの街の歴史を組み上げていきます。
読んだ人がまず驚くのは、その構えの大きさです。架空の街なのに、本当にあったかのような手触りがある。巻末の参考文献の多さに触れて、下調べの厚みが説得力になっている、と話す人もいます。題名の「地図」と「拳」、そして建築と時間をめぐる話が後半でつながっていくところに、ぞくっとしたという声が多いです。
600ページを超える厚さで、登場人物も多いので、途中で迷子になった、という人は少なくありません。中国の地名や人名が覚えにくい、最初の数十ページで引き込まれなかった、という声もあります。時間を取ってじっくり読める時期に向いている本です。作者の小川哲さんは『君のクイズ』『ゲームの王国』でも知られています。
ブクログでは6,000人以上が本棚に登録しています。第168回は、千早茜『しろがねの葉』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。