地球惑星科学を学んだ作家が書く、日本の各地を舞台にした5つの短編です。山口の見島と萩焼、奈良の東吉野村、長崎の長与町、北海道の遠軽町、徳島の海辺の町。土地ごとの自然と、そこに暮らす人の営みが、科学の話と一緒に語られます。
「科学の知識と人のドラマが自然につながっている」という受け止め方がいちばん多く、短編なのに時間のスケールが大きい、と驚く人もいます。何億年という地球の時間と、一人の人の数十年が同じ話の中で重なる。そこが伊与原さんらしい、という声です。好きな話としては「祈りの破片」や「狼犬ダイアリー」がよく挙がっていました。
一方で、「どの話も同じ型に見える」「少し薄味」と感じた人もいます。科学の知識が物語の鍵になり、人が前を向いて終わる。その流れが続くことを安心感と取るか、物足りなさと取るかで、評価が変わりそうです。長編のような深い没入を求める人より、一話ずつ味わいたい人に合う本です。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。