鎌倉に近い海辺の町。父を病気で亡くした小学5年生の慎一は、転校生の春也と、海で母を亡くした同級生の鳴海と、3人で過ごすようになります。少年たちは、ヤドカリを神様に見立てた秘密の儀式を始めます。願いごとをかなえてもらうための、子どもだけの遊びだったはずでした。
少年たちの気持ちの揺れを描く細かさに感心した、という感想が多い本です。友だちへの嫉妬、大人への苛立ち、言葉にできない寂しさ。思春期の入り口の痛みが、海辺の町の風景と一緒にくっきりと描かれている、という声があります。祖父が慎一にかける言葉が心に残った、という人もいました。
全体に暗く、息苦しい話です。読後にもやもやが残った、という声も少なくありません。道尾秀介さんの名前からどんでん返しのミステリーを期待すると、少年たちの心を追う青春小説であることに驚くかもしれません。
ブクログに350件を超える感想があります。第144回は、木内昇『漂砂のうたう』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。