北海道警察の刑事・仙道孝司は、ある事件で心に深い傷を負い、休職しています。療養中の仙道のもとに、昔かかわった人たちから相談が持ちこまれる。警察の権限を持たないまま、仙道は北海道のあちこちの寂れた町へ出かけて、事件の真相を探ります。6つの話からなる連作です。
刑事が休職中という設定がうまい、という感想が多く見られます。捜査の権限がないからこそ、人の話を聞き、町を歩き、少しずつ真相にたどり着く。人との関係の奥行きや、寂れた町の空気の描き方に惹かれた、という声もあります。
淡々としていて地味だ、事件の解決に意外性や緊張感が足りない、という声も少なくありません。派手な警察小説を期待すると物足りないかもしれません。北海道の風景と、傷ついた刑事の静かな歩みを味わう本として読むほうが合いそうです。
ブクログに感想が寄せられています。第142回は、白石一文『ほかならぬ人へ』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。