主人公は、明治の天才絵師・河鍋暁斎の娘で、自身も絵師になった河鍋暁翠(とよ)。父が亡くなった明治22年から大正の終わりまで、西洋画が一気に広まっていく時代に、父の画風を受け継いで描き続けた女性の一生を追います。
偉大な父の影から抜け出せないまま、それでも絵に向き合い続ける。その向き合い方が少しずつ変わっていくところが読みどころだ、という感想が多いです。明治から大正にかけての美術の世界の移り変わりも丁寧に書かれていて、河鍋暁斎という画家を初めて知った、という人もいます。最後にたどり着く、人は喜んだり楽しんだりしていいのだ、という境地に救われた、という声が印象に残りました。
登場人物が多くて関係がつかみにくい、流れが淡々としている、と感じた人もいます。劇的な展開で読ませる本ではないので、じっくり一人の生き方を追いたいときに向いています。
ブクログに感想が寄せられています。第165回は、佐藤究『テスカトリポカ』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。