主人公は、明治の歌人・中島歌子。のちに樋口一葉の師となる実在の人物です。幕末の江戸で商家の娘として育った登世(のちの歌子)は、水戸藩士のもとへ嫁ぎます。ところが水戸藩は、天狗党の乱をめぐって藩の中が血で血を洗う争いに陥っていて、登世もその渦に巻き込まれ、投獄されてしまいます。
評価はかなり高く、「こんなに壮絶な人生だったとは」と驚く声が多い本です。夫への一途な恋心と、短歌に込められた思いの美しさ。それが、水戸藩の内乱の凄まじさと並んで描かれることで、いっそう胸に迫る、と感じた人が多いようです。幕末の水戸藩のことを初めて知った、という人もいます。
牢に入れられてからの場面はとても凄惨で、読むのが苦しかった、という声が少なくありません。気持ちに余裕のあるときに読みたい本です。ただ、つらさを越えた先に残るものがある、という受け止め方が多数派でした。
ブクログでは2,000人以上が本棚に登録していて、評価は4点台です。第150回は、姫野カオルコ『昭和の犬』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。