昭和33年、滋賀県に生まれた柏木イク。気むずかしい父と、冷たい母。水道もトイレもない家で育ったイクが、子どものころから大人になるまでの日々を、そばにいた犬や猫との思い出と一緒にたどっていきます。
大きな事件の起きない、ごく普通の人生の話です。それなのに、読み終えたときに静かな幸せを感じた、という感想が目立ちます。犬をなでるときのような、猫の足音のような、小さな日々の尊さ。終わり近くでイクが口にする言葉に、胸をつかれた人が多いようです。昭和の暮らしの移り変わりが丁寧に書かれていて、同じ時代を生きた人には懐かしい、という声もありました。
淡々としすぎていて、何が言いたいのか分からなかった、という人もいます。昭和を知らない世代には入り込みにくい、という声や、親の冷たい態度の描写がつらかった、という声もありました。動物と一緒に暮らしたことのある人のほうが、きっと深く響く本です。
ブクログに感想が寄せられています。第150回は、朝井まかて『恋歌』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。