19歳のスミトは、船に乗って北へ向かい、【谷】と呼ばれる場所にたどり着きます。そこでは、俳優や脚本家を目指す若者たちが、先生のもとで自給自足の共同生活を送っていました。畑仕事や力仕事、同期との付き合い、演劇の稽古。故郷に残してきた、恋人とも言えない女の子のことも気にかかる。作者自身が若いころに過ごした場所の記憶をもとにした話です。
好きだという人が挙げるのは、記憶のあいまいさをそのまま書いたような、ふわふわした読み心地です。思い出が途切れ途切れに浮かんでくる感じが新しい、別の世界の迷路に迷いこんだようだった、という声がありました。
評価はかなり低めに割れています。説明が足りなくて意味がつかめない、気持ちが動かなかった、何がいいのか分からなかった、という声が目立ちます。物語としてのまとまりを求める人には合わないかもしれません。倉本聰さんの富良野塾を知っている人は、その背景を思い浮かべながら読むと入りやすいようです。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。