第二次世界大戦の終わりごろ、ドイツ南部の精神病院。ナチス政権は、治る見込みのない患者を「安楽死」させる政策を進めていました。患者たちを救おうとする医師たちの苦悩を、日本人の患者タカハシや、研究に打ちこむ医師ケルセンブロックの姿を通して描いた表題作のほかに、4つの作品が入っています。作者の北杜夫さんは精神科医でもありました。
医療に携わる者として、人の尊厳をどう守るかという重い問いを突きつけられた、という感想が多く見られます。極限の状況の中で、人間がどうふるまうのかを見つめた作品だ、という受け止め方もありました。『どくとるマンボウ』シリーズの軽妙さとはまったく違う、北杜夫さんの別の顔が見える作品です。
難しくて抽象的だ、登場人物に共感しにくい、救いがなくて暗い、という声があります。気持ちに余裕のあるときに、じっくり向き合いたい本です。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。