貴子(きこ)と永遠子(とわこ)。子どものころ、葉山の別荘で同じ夏を過ごした二人は、25年たって、別荘を取り壊すことになったのをきっかけに再会します。一緒に過ごした日々の記憶と、いまの時間が混じり合い、夢と現実の境目がゆるんでいきます。
「絵画のような小説」という感想がよく似合う本です。文章そのものが美しく、読んでいると懐かしい感覚が呼び起こされる。記憶の不確かさを、ここまで丁寧に言葉にできるのか、と感心する声もあります。風や波のように、とどまることなく流れていく話だ、と受け止めた人もいました。
読みにくい、何が起きているのか分かりにくい、という声も少なくありません。読む人をかなり選ぶ作品です。筋を追わず、文章の流れに身をまかせるつもりで読むと、この本のよさが伝わってきそうです。
ブクログでは2,000人以上が本棚に登録しています。第144回は、西村賢太『苦役列車』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。