明治の終わりの大阪・船場。商家に嫁いだ多加は、夫が妾宅で急死し、借金と幼い子を抱えて取り残されます。そこで多加が乗り出したのが、寄席の経営でした。工夫と気配りで客をつかみ、やがて大阪を代表する興行師へとのし上がっていく。大阪の演芸の移り変わりとともに描かれる、一人の女性の一代記です。
「痛快で、清々しくて、少しもの悲しさが残る女傑の話」という感想がよく似合う本です。大阪弁のやりとりの巧みさと、商人としての根性の描き方に惹かれた人が多く、女性が自分の力で商売を切り開いていく姿が気持ちいい、という声が並びます。取材に裏打ちされた、大阪の芸能の歴史の描き方も評価されています。
言葉づかいが古く、読みにくいところがある、という声があります。商売ひと筋で、家族や恋の話はほとんど描かれないので、多加が幸せだったのか分からず切なかった、という人もいました。山崎豊子さんの初期の代表作で、のちの大作につながる力強さを感じられる一冊です。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。