江戸の中ごろ、戦のない穏やかな時代。下級武士たちと、その妻や妻になるかもしれない女性たちを描いた6つの短編が入っています。去っていった女、先に逝った妻。男たちは、女性たちの面影にいつまでも惑わされています。
「縁側に寝転んで読みたくなる」という感想がぴったりの、柔らかい文章の本です。しなやかでしたたかな女性たちと、どこか頼りなく穏やかな男性たちの対比がおもしろい、という声が多く、時代も身分も違うのに身近に感じた、という人もいます。好きな話としては、表題作や「乳付」「ひと夏」「逢対」の名前がよく挙がっていました。
はっきりしない終わり方の話が多く、「いいもやもや」と受け取る人もいれば、中途半端に感じた人もいます。大きな事件が起きる時代小説を期待すると、物足りないかもしれません。夫婦や男女の機微を味わう短編集として読むのがよさそうです。
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受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。