主人公は、杏と瞬という姉妹です。周りからは一人に見えますが、二人は一つの体を分け合って生きている結合双生児。伯父が亡くなってから四十九日を迎えるまでの日々を、二人の意識を行き来しながら描いていきます。
作者の朝比奈秋さんは医師でもあり、体についての描写の確かさに驚いた、という感想がよく見られます。そして読んだ人の多くが引っかかるのが、「意識とは何か」「わたしとはどこまでか」という問いです。二人が本当にどこかにいるような気がしてしまうほど引き込まれた、という人もいました。140ページほどの短い作品ですが、読み終えたあともしばらく考えこんでしまう本のようです。
設定の驚きに比べて、話は淡々と進みます。日常の出来事が中心なので、物足りなかった、途中で迷子になった、という人もいます。筋を追うより、二人の意識の揺れを一緒にたどるつもりで読むと入りやすそうです。
ブクログでは5,000人以上が本棚に登録しています。第171回は、松永K三蔵『バリ山行』との同時受賞でした。
受賞の回・出版社(掲載誌)は日本文学振興会の受賞者一覧によります。感想のまとめは2026-09-27に確認したものです。